2 side R ページ18
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「セーフ!?セーフ!?」
現場に滑り込んだ俺に、鏡の前で髪をいじってもらっている臣が「ギリギリ。ほとんどアウト」と笑いながら言った。
「間に合ってるでしょー!焦ったー」
「どうしたの?部屋帰って寝ちゃったとか?」
「ううん。ちょっと」
臣の隣に座り、キャップを取って髪に指を入れると、じわっと汗をかいていた。
「ちょっとって何よ」
「え?いや、Aが───」
何でこんな事細かに話してるんだろう?と思いながらも、事のあらましを臣に聞かせた。
「あ、じゃあA今部屋に居るんだ?」
「そうそう。連れてくるわけに行かないし」
「連れてこいよー!俺は聞きたいことがいっぱいあるんだよー!」
────ろくなこと聞かないだろうから絶対連れて来たくない。
「今市さーん!どうですか、交際は順調ですか?」
「やめろ、その聞き方」
臣は軽く笑い声を上げて「まじでどう?」と目だけをこちらに向ける。
「まだそんな時間経ってないからアレだけど……楽しいよ。今までの子とは違う感じ」
“今までの子”なんて、Aには絶対に聞かせられない話だけど。
「どう違うの?何が違うの?具体的に」
「………何か勘違いしてない?一生懸命下流で待ち受けてるけどさ、俺流さないよ?求めてるもの」
「流せよ。夜の話を。俺待ってるから」
「流さねぇよ。一生待ってろ」
「えー、じゃあ仕方ないから普通の“違い”聞くわー。例えば?」
「例えばぁ……リアクションでかいとこ。しかも本気のやつ」
「わざとらしくないんだ?」
「そー。あと言葉がストレート。顔真っ赤にして可愛いこと言うんだよ」
「そうなの!?はぐらかすの上手いのに隆二にはストレートなんだなぁ」
「まぁねぇ、やっぱ俺には違うよねぇ。リードしてるからぁ?」
「………ふんっ。余裕ぶっちゃって。“俺の方が主導権握ってる”みたいに思ってたら大間違いだからな。お前の彼女、相当だからな」
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2017年3月4日 17時