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普段、頂き物とかお土産とかそういうのでしか甘い物を口に入れない人なのに。
「買ってこようかな」
「私も行く!」
体を起こした私を制すように、隆二さんは手のひらをこちらに向ける。
「良いよ。寒いし」
「行きたい。一緒に」
「よくそんなこと言えるな…………その前髪で」
「…………ひどい!前髪関係ないじゃん!」
隆二さんは「冗談だよ」と笑って、ソファーを抜けてジャケットを羽織った。
「お前も何か要る?」
「ううん、大丈夫」
「ん。じゃあ行ってくる」
財布をポケットに突っ込んだ隆二さんの背中を見送って、私はまたソファに体を横たえた。
ぼーっとした時間は、自然と瞼が落ちてくる。
仕事に復帰したとき、この“お昼寝癖”はまずいなと思いながらも、私はあくびを1つして目を閉じた。
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テレビから大きな笑い声がして、私はビクッと目を覚ました。
壁の時計が1時間と少し眠っていたことを教えてくれている。
部屋の中は薄暗くて、夕方と呼べる時間も過ぎようとしていた。
「隆二さん………」
まだ帰ってない?
どこまで甘いもの買いに行ったんだろ。
てっきりコンビニにちょっと行くだけだと思ってたのに。
私はのっそり起き上がってブラインドを閉め、部屋の灯りをつけた。
「電話………してみよっかな」
携帯を耳にあて呼び出し音を聞いている間、思わず前髪に手が伸びた。
隆二さんがそうしたように、私もぺたーっと撫で付ける。
“もしもし”
「あ、隆二さん!どこ居るの?」
“どこって?”
「甘いもの買いに行ったんでしょ?遅くない?」
“遅くない?ってお前が連絡してくるのも遅いよ”
「ちょっと寝てて………へへ」
“やっぱりな!だと思ったよ”
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2016年12月23日 18時