5 side H ページ5
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前に来たときと匂いが違う。
隆二の部屋にAの香りが混じるとこういう感じになるのかなぁと思いながら、彼の後ろについてリビングに入った。
「はぁ?寝てんじゃん!」
「え!?」
そこにはソファに座ったまま、肩を寄せあって眠っている絢とAの姿があった。
「何?どうしたの?」
「さぁ………てかさ、二人とも前髪変じゃない?」
「ん?」
隆二の言葉にそっとソファに近付いてみると、二人の前髪が
─────完全にチリチリになっている。
「隆二、これ、燃えた?焦げた?」
「え?カレー作ってたんじゃないの?何で前髪が焦げるの!?」
隆二は「出来上がったの本当にカレーか?」とキッチンに走って行って「あぁぁあぁ!」と叫んだ。
「どうした!?」
「レンジフード!煤けてる!!黒い!」
「えぇ!?」
絢………お前、よそ様の家を黒くしたのかよ………。
何をどうしてそうなったんだよ。
.
.
.
二人が起きたあと食べたカレーは美味しかった。
色々大変な思いをして作ったのも分かった。
でも、それより何より隆二と俺は、
二人の前髪を見ても笑わないようにすることで必死だった─────
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2016年12月23日 18時