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5 side R ページ27






乱れてるな。みんな乱れてる。









「隆二さん、あそこにアメニティがいっぱいある………」









「あ?」









一刻も早くエレベーターに乗ってしまいたい俺のことなんて気にもかけないで、Aはズラッと並んだアメニティの方に歩いていった。









「ちょ、そんなん良いから早く入ろうよ部屋」









「がっつかないで下さいよー」









「そうじゃない!」









気まずいんだよ。もう……色々気まずいんだよ。









「あ!爪磨きある!」









「磨かないだろ!?なぁ!わざわざここで磨かないよなぁ!?」









「………ですよねー。私もそう思います。行こっ」









腕を絡めてきたAに引っ張られるようにエレベーターに乗り込んで、ようやく“はぁ”と深く息が出来た。









「良いか?パッとエレベーター出て、ダッと走って、ガッと部屋入るんだからな?分かった?」









「スパイみたい」









ヘラッと笑うA。









「お前さぁ、知り合いに会ったらどうしよとか思わない?」









「思わない。だってむこうも同じじゃん」









─────……それもそうだな。









エレベーターがふわっと揺れて、階数表示が点滅した。









「行くぞ!」









「はい!」









エレベーターの扉が開いた瞬間、Aの手首を掴んで走った。









思ってたより明るくて長い廊下に二人のバタバタとした足音が響く。









「結構距離あんな!」









「ほんと!ねぇ隆二さん」









「なに!?」









走りながらAの方に顔を向けた。









「楽しいねー!」









“それはAが酔ってるからだよ”って言いたかったけど─────









「うん、何か笑っちゃうんだけどー!」









堪えても堪えても口から出てくる笑い声をお互いに茶化しながら、ランプ型の壁掛け照明が付いているドアの鍵を開けて、









部屋の中に転がり込んだ。

内緒。→←4 side R



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作者名:ぽち。 | 作成日時:2016年12月23日 18時

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