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「Aはそう言ってくれるけど、俺はこうやって言葉にして何回も伝えないと不安って言うか………口ばっかりじゃんって思うかもしれないけど」
「思いませんよ?私、隆二さんのこと口ばっかりとか思ったこと1回もない!」
「ありがと。でも、実際ちゃんと………形式的にって言うの?そういう風にしてあげられないからさ」
「………結婚とか、そういうことですか?だったら良いんです私。隆二さんきっと良い旦那さんになって、優しい父親になるんだろうなって思いますけど………でも私はまだ隆二さんと恋愛してたいから、良いんです」
強がりなんかじゃなくて、本当にそう思っている。
いつか………とは思うけど、色んな物を背負ってる彼が家族まで背負い込むには、早すぎる。
「気にしすぎ、隆二さん」
「………けど、その恋愛も我慢させることが多いから。手が寒そうだなって分かってるのに、握ってやれなくて………コーヒー買ってやることしか出来ない、外じゃ」
私はまた、泣くのを堪えるために唇を噛んだ。
「でも……たまに分からないように繋いでくれるから、私は充分です」
隆二さんの目に光るものが見えた。
風のせい?それとも………泣いてるの?
「お前はいっつもそうやって、聞き分けが良いから………」
隆二さんは苦笑いをしたあと、私の手のひらからピアスを取った。
「俺が左耳にするのはAを守るっていう決意。Aが守ってもらいたいのが俺だったら、受け取って」
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2016年12月23日 18時