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3 side M ページ16





「うん……」









私は肌触りの良いその箱を受け取って、慎重に蓋を開いた──────









「…………これ……え?」









中身は、キラキラと輝く一粒のダイヤだった。









「…………真希!ダ、ダイヤって言うのはね!」









突如始まった岩田さんの演説に私はビクッと肩を揺らす。









「ダイヤって言うのは“何よりも強い、征服されざるもの”っていうギリシャ語が語源だって言われてて“純潔・清浄無垢・純愛・永遠の絆”っていう宝石言葉があるんだよ!」









「は、はい」









「こ、婚約指輪とか結婚指輪にダイヤモンドが使われる理由分かる!?」









「え、えっと………何だろう?」









「固い絆を意味するからなんだよ!」









「あ!なるほど!ダイヤって硬いから」









「そ、そう!」









私はバッグを手繰り寄せて、中に入っていたハンカチで岩田さんの汗を拭った。









「すごい汗………」









「因みに!指輪はさぁ!繋ぎ目がないでしょ!だから、永遠を意味するわけ!」









「うん…………」









何だか、宝石屋さんに来たみたいな気分………。









「永遠に固い絆を約束する意味でダイヤの指輪を贈るんだよ!」









「とっても勉強になります………あの……それで、このダイヤの意味は?」









「に、鈍いな!真希は急に鈍くなるな!」









「えぇ!?」









だって………“重く取らないで欲しい”って言ったわりに“永遠”とか“絆”とか………。









「真希」









「はい………」









「いつか……本当は今すぐって言いたいんだけど、いつか繋ぎ目のない永遠もあげるから………それが今の俺の気持ち」









私は、ダイヤに視線を落とした。









「二人の絆が誰にも邪魔されないで、これからもっと強くなっていく願いを込めて。俺から真希に贈ります」









泣きそう、どうしよう───そう思った時には涙が頬を滑っていた。









永遠なんて要らない、今のその言葉だけで私はこれから先、何があっても彼についていけると思った。

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作者名:ぽち。 | 作成日時:2016年12月23日 18時

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