for you.─Diamond─side T ページ14
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「ただいまー!」
真希が息を切らして帰ってきた。
「おかえり!間に合った?」
「間に合った!選考の窓口の人に“ぎりぎりでしたね”って笑われちゃった」
展覧会に出す1枚を今日の午前中に決めた真希は、締め切りぎりぎりだと言って1日あちこち駆け回っていた。
「お疲れさま」
「ありがとう」
ほっとしたように“はぁ”と息を吐いた真希の立ち姿を何となく眺める。
グレーのタートルネックのセーター、黒いスーツ………“先生”然りとした出で立ち。
「ご飯作るね。お腹空いた?」
「あ、その前に」
ジャケットをハンガーにかけた真希を手招きした。
「なに?」
「まぁまぁ座ってよ」
「えー?なに?」
買ってから2年になるソファに腰を下ろした真希は、手で軽く髪を纏めて片方の肩に垂らした。
「ここのところ忙しくて渡せなかったんだけど………」
「ん?」
ソファの裏側に隠しておいたオレンジ色の紙袋を持ち上げて、テーブルの上に置く。
「取り敢えず開けてみてよ」
「え?これ、クリスマスの?」
「そう。真希のサンタさん遅刻してしまいました」
俺の言葉に笑った真希は「何だろう!?ドキドキするな」と紙袋の中から箱を取り出した。
「んっ?バッグじゃないな?」
ニコニコしながら箱の重さを確かめて、真希はゆっくり蓋を持ち上げた。
「あ!!パンプス!」
パッと輝いた顔を見て、俺は一先ず胸を撫で下ろす。
靴を選ぶのは物凄く難しくて、気に入ってもらえなかったらどうしようかとずっと考えていた。
「特別な日じゃなくて、真希が学校にも履いて行けるのが良いかなって、そういうのにしたんだけど………どう?」
「どう?って気に入るに決まってるじゃない!こういうシンプルなの欲しかったぁ………」
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2016年12月23日 18時