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大きなロッジみたいな宿泊先の部屋は木の良い匂いがした。
夜はみんなで夕食を食べることになって、人見知り故に端っこに座った私。
「空いてんだよね?」
私が答え終わる前に臣さんが隣に座って、香水の風がきた。
隣に彼が居ることで何を食べてるか分からなくなる。
何だか盛り上がってるけど内容も耳に入ってこないし、ただただ視線を吹き抜けの窓に向けたままスプーンと口を動かした。
星に手が届きそうって、こういう夜空のことなのかな……このスープ、やけに豆感が凄いな。
ん?と視線をスープに戻したら琥珀色のスープの中でグリーンピースがひしめき合っていた。
「なんだこれ」
思わず口にしたら
「あげる」
と臣さんが言った。
「グリーンピース嫌いでしたっけ?」
「嫌いじゃないよ?あげるんだよ」
「…………いただきます」
豆もらった。
彼から初めてもらったもの。
どうなのそれ?
「ごちそうさまでした」
相変わらず盛り上がってる臣さんを横目に先に席を立って、部屋に戻る途中でみくさんが追いかけてきた。
「Aちゃん、ここ温泉あるの知ってる?」
「え!知らない!」
「行く?」
「行く!」
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2015年6月12日 19時