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「登坂チャンスだかスーパー登坂くんだか知らないけど、言わないでね絶対」
「言わないよ。この一年、噂になったことあんのか?ないでしょ?」
二人で身を屈めてヒソヒソ話してたら「仲良いね」って声が上から聞こえてきた。
「そうなんですよ臣さん、仲良いんです。私、休憩行ってきます」
ユカちゃん行っちゃったし。
「合宿よろしくね。その打ち合わせするって」
臣さんが会議室を指差した。
「分かりました」
打ち合わせなんて必要ないくらい資料は読み込んだ。あと分からないのは、もう一人の女性スタッフ。
最近まで担当が違ったのかな?
会議室に入ってぐるっと辺りを見渡したら、パッと顔を上げた人がいた。
「あ、同行される……」
鈴を転がしたような……は言い過ぎかもしれないけど、可愛い声の人。
「宜しくお願いします」
優しそうな人で良かった。
「お名前、みくさんってお読みするので間違ってないですか?」
「あ!はい。下の名前で呼んで下さい」
「あぁ、じゃあ私もAって呼んで下さい」
何か、新学期みたい。
資料をなぞる打ち合わせは、お昼を食べ過ぎたせいか強烈な睡魔が襲ってくる。
資料で口を隠して欠伸をしたら、ばっちし臣さんと目が合って、しまった!と思ったんだけど
“俺も”と口を動かして笑ってくれた。
ユカちゃん、これがあなたの言う「登坂チャーンス」ですか?
もう一回、欠伸したらダブルチャンスにならないかな。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2015年6月12日 19時