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虫の合唱が鳴り響く、夜の歩道。
街灯と街灯の間隔が空きすぎて、見ちゃいけないものが見えそうな気がする。お化けとか。
隣に臣さんか居ようが居まいが出るもんは出る。絶対。
「怖い話してあげよっか」
「エスパー?!」
「なに?!」
「何でもないです。怖い話しないで良いです。したらケツの辺りを一発蹴ります」
「意外と武闘派なんだね」
都会じゃ気づかないけど、コンビニの明かりってホッとする。
「あー…アイス」
冷凍ケースを見て呟いた一言に「食べたいの?」と臣さんが反応した。
「臣さんは?」
「んー……一個も要らないけど食べたいかなー」
「じゃあ半分こしましょう」
「んじゃこれ」
半分こするからカップのアイス?なんて考えてたけど、臣さんそれ、直接口でいっちゃうやつじゃないですか。
どうするつもりですか。
「買い出し行ってくるって来たから、みんなのも頼まれちゃった。重っ」
臣さんの両手がずっしりとした袋で塞がってる。
「一つ持ちますよ」
「すげぇ重いから良いよ。Aはアイス係ね」
「あ!え?はい」
差し出したアイスを臣さんは歩きながらパクっと食べた。
これ、食べるんですか私。
ギュッとアイスの棒を握りしめているせいか、タラリと雫が垂れた。
「早く食えよー溶けるじゃん」
「た、食べます」
これ、本当にアイスかな。
全然冷たく感じない。
ユカちゃん、臣さんと居ると味覚が麻痺するみたいです。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2015年6月12日 19時