Day3 ページ12
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朝、パチッと目が覚めたらまだ目覚ましの鳴る1時間も前だった。
外の空気を吸いたくて表に出たら、ベンチの所で隆二さんが電話中。
こんな朝早くに?
気になって隣に座ったら完全にひいた顔された。
チラチラ私を見ながら電話を終えた隆二さん。
「人が電話してる時に隣座る?!」
「誰ですか?彼女ですか?」
ポケットに携帯をしまいながら隆二さんが頷く。
「隆二さんの彼女ってスタッフなんですよね?」
「よく知ってんね。今は担当違うけど」
「どうやって付き合ったんですか?告白とかしました?」
「うちはねぇ、岩ちゃん」
「岩田さん?!」
「岩ちゃんが橋渡し役って言うか。色々あったんだけど」
「あ、何か聞いたことある!お手紙でやりとりされてたんですよね?」
「何でそんな知ってんの?」
隆二さんは笑ったあと「まぁでも気持ちは伝えないと分かんないよね」と言った。
隆二さんが自分と彼女のことを“うちは”って言ったのがキュンとした。
海辺の風みたいな爽やかな情熱がそこにある気がする。
結局、今日も臣さんと大して会話もせず日が暮れた。
「今日は外で食べるので夕食はいりません」
管理人さんにそう伝えたけど、
本当はホタルを見に行くんだ。
小さな薬屋さんで買った虫除けを全身に振りかけて、いざ。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2015年6月12日 19時