3 ページ41
・
こういった類いの話は、細切れで読むより一気に読んでしまいたい。
だから───
「見ないで」
「見てねぇよ」
「見てる！気になる！」
「あ、チョコ食べる？」
「何ですか急に！！」
「前に貰ったやつがポケットに入ってた。食べる？」
「前にって……賞味期限とか大丈夫ですか？」
「そこまで前じゃないよ！ほら」
隆二さんは、わざわざ包みを開けてから私の口に放りこんだ。
ゆっくりと口の中で溶けるそれは
「美味しいー………」
甘い溜め息が出た。
「どこで貰ったんですか？こんな美味しいの」
「あー………えっとね、拾った」
「拾い食い！？そんなわけないでしょ！？貰ったって言ったじゃん！あ！分かった！女の子から貰ったんだ！？」
「そんな本読んでるからすぐ妄想するんだよ！」
…………そうかも。
「包み、見せて下さい。自分でも買いたいくらい美味しいからお店知りたいな」
「駄目」
「なんで？」
「なんでも」
「なんで？」
「うるさい」
教えてくれても良いのに……。
「ねぇ、それ」
隆二さんは急に私の左手を持ち上げた。
「これ、綺麗って言ったよね？それで欲しかったんだよね？」
少し前に、フラっと寄ったお店で見つけた指輪。
おもちゃみたいな値段で、ダイヤじゃなくてガラス玉だけど、凄く綺麗なデザインで私はとても気に入った。
彼は普段付けられないと分かっていてもお揃いで欲しくて……
ねだる私を見て隆二さんは笑いながら「何号？」と聞いてきた。
「7号！」とすぐに答えた私に隆二さんはまた笑った。
そんな思い出のある指輪。
「うん、綺麗だから買ってもらいました」
「だよね？デザインが気に入ったんだよね？そういうのが好きなんだよね？なら良いんだけど」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2265人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「登坂広臣」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽち。
| 作成日時：2016年2月14日 21時
