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その夜、隆二さんはハンバーグが食べたいとリクエストしてきた。
こないだから子供みたい、と笑う私に「味覚が中学生で止まってる」と真剣な顔で言うから余計に笑えた。
「オーブンで焼くんだ？なんで？」
奇襲！なんでなんで坊や！
「うちのお母さん、オーブンで焼いてて……それでかな？」
「へぇ………これは？」
「これはソース」
「………何味？」
「あっ。味見しますか？」
ガラスの器に入ったソースを小さなスプーンに少し乗せて、隆二さんに渡した。
「どうですか？」
付け合わせを作りながら隣に居る隆二さんの返事を待った。
「何か足りない？」
返事を待った。
「美味しくない？」
返事を待った───
「ねぇ、隆二さんどう？………って何してんの！？」
ソースが半分に減ってる！！
「食べちゃった」
何その笑顔。
凄く可愛い。
「………もう少し足しますから、今度は食べないでね？」
「思ってるより多く作れよ」
「作れよって………。はいはい、分かりました」
「はいはい？何、その返事ー。怒ってる？」
「怒ってないよ？」
「じゃあ、なんではいはい、って言った？」
「今作ってるから静かにして」
「ねー、なんでー？」
「うるさい！ア……バカ！」
惚れた男に“アホ”とは言えないのです。
“いただきます”も二人だと何か楽しい。
「隆二さん！ソースかけすぎだって！」
「そう？」
「戸惑ってる戸惑ってる！ハンバーグが戸惑ってる！」
「は！？なんて！？」
「そ、そんなにかけられるなんて………って戸惑ってる」
「色っぽいハンバーグだね」
そうですね。
「明日は？あの物置組み立てんの？」
「うん」
「………俺が居るから買った？」
「……うん」
あんなの一人じゃ無理………でもないけど、隆二さんがしてくれたら良いなと思って買いました。
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作者名：ぽち。
| 作成日時：2016年2月14日 21時
