Overcome. ページ23
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私は、岩ちゃんと何を話せば良いんだろ。
「電車で来たんすか？」
「あ、はい……電車で」
「混んでました？」
「いえ………それほどでも」
電車の混み具合なんて、彼の中の気になることランキング851位くらいだろうに………。
「隆二さんちの近くに住んでるんですよね？」
「はい。歩いて15分くらい」
「長く住んでるんですか？」
居住実態を把握してどうするんだろ………。
「学生の時からです」
「一軒家なんですよね？」
「あ、でも全然そんな……御実家ほどじゃ……」
「いやいやいや」
笑う岩ちゃんを見ながら、目元に聡明さが出てるなと思う。
きちんと学んできた人の目は、どこか違う。
「あの、写真のこと……すみませんでした」
「いえ！大丈夫ですから本当に！」
「いや、何か……申し訳なかったなって」
目を伏せて肩を張り、頭を下げるその姿。
「………紳士ですね」
「は！？」
「やっぱり何とかボーイは違うんですねぇ……」
岩ちゃんは、辺りを見渡して隆二さんが近くに居ないことを確認してから、私との距離を詰めて声を潜めた。
「筋金入りの何とかボーイは前の彼氏じゃないですか！」
「はい、だからたまに会話が噛み合いませんでしたっ」
「まじっすか！」
「まじっす！」
この笑顔、流石は何とかボーイ。
合コンしたい大学一位だけのことはある。
「俺、聞きたかったんですけど素数に萌えたりするんですか？」
「それはある種のネタ……だと思います」
「そうなんですか！？何か萌えてそうなイメージありました。あの大学の人は」
合コンしたくない大学一位はそういうイメージですか？
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作者名：ぽち。
| 作成日時：2016年2月14日 21時
