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隆二さんに誘われて思わず頷いてしまって……。
彼は「ちゃんと色々考えとくから」と言っていたけど………。
「取り敢えず喧嘩の種になりそうなスケッチブックは置いていこうと思ってる」
「「賢明です」」
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“着きました”
お店の外で隆二さんにLINEした。
裏通りのお店は、看板にだけ照明が当たっていて“貸し切り”と外の黒板に書いてある。
「早かったね」
ドアから顔を覗かせた隆二さんが、あの夜みたいに私の手を掴んで中に引きずり込んだ。
板張りの床にヒールが引っ掛かりそうになりながら、私は隆二さんに散歩させられてるみたいに、お店の奥へと進んで行く。
胸の高さほどの丸いテーブルがいくつも並べられていて、そこには2、3人ずつ人が居て食べたり飲んだり喋ったり。
ずんずん進んで行く間に臣くんを見つけた。
「あ！臣くんこんばんは！」
「はい、こんばんはー！」
臣くんはすれ違い様、私の背中を叩いた。
「隆二さん」
「ん？」
「臣くん首からホイッスルぶら下げてなかった？」
「本当？もう結構出来上がってるからねあいつ。気にしない方が良いよ」
「うん………」
「ほら、ここ」
隆二さんは一番奥の窓辺の席を私に勧めた。
「座って座って」
よっこいしょ、と椅子に座った私の肩に隆二さんが手を置く。
「あれ見て」
指差された方には窓の外に広がる綺麗な庭園があった。
「すごい！きれい！」
「でしょー？植栽が………何だっけな？何かだよ」
「何か？」
笑って窓の外を見る私の顔に、隆二さんの顔が近付く。
「あれ、見える？池みたいなの」
「見える………」
隆二さんは何か一生懸命私に説明してくれていたけど、今にもぶつかりそうな頬に、それどころじゃなかった。
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作者名：ぽち。
| 作成日時：2016年2月14日 21時
