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「あー!!男ってそういう時あるー!仲間内の話が楽しくて彼女をほっとくんだよねー!特に体育会系!!」
ゆかりの話に秀香が激しく頷いている。
「もう何かイラッときちゃったんだけど、何とか鎮めようとしてトイレに逃げ込んだよね私」
「うん賢明だね。トイレは頭を冷やすのに良いよね」
「でしょ?そしたらさぁ……トイレで悶々としてる間にさー」
「どうした!?やっぱ乱れてた!?」
「乱れてないって!!ちょっと黙って電波!!」
「電波!?ゆかり、聞いた?A、私のこと電波って言った!」
「秀香やばいよ。A一滴も飲んでないのにこんだけキレてるから。これはやばいよ」
「で?トイレで悶々としてる間に?」
「私のスケッチブックが見られてた」
「誰に!?」
「女性たちに」
「隆二さんとウテウテは止めなかったの!?」
「何かベランダみたいなとこ出てたんだよ、男どもは」
私は物凄く焦って駆け寄って、引ったくるようにスケッチブックを奪い取った。
「大事なやつなんです」と言ったら「椅子に置いてあったから」と言われた。
確かにバッグに入らなくて椅子に置いた。
でも、スケッチブックの上に“触らないでね”の意味を込めてコートとバッグを置いたはず。
スケッチブックには大切なものが詰まってる。
「見るかな普通………それで、帰ったの?」
「ちゃんと隆二さんに言ったよ?明日も仕事だからって」
「そしたら?まさか“あー本当?”とは言わなかったでしょ?」
「うん、帰んないでよみたいなこと言ってた」
私の知らない話をして、私を特に構うこともしないくせに“帰んないでよ”なんてどの口が言ってるのかと思った。
「じゃあ帰りません」と言いつつ、私はこっそり部屋を出た。
隆二さんは、変なとこにするどい人。
エレベーターの扉が閉まる直前、抉じ開けるように入ってきた。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2016年2月6日 21時