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「もう、優しく触って下さいね!劣化してるんですから!」
「だから手抜き工事だったからでしょ?」
「…………圧接屋さんが手抜きだったんじゃないですかぁ?」
「はぁ?なんすか?」
「鉄筋、ちゃんとくっついてないんじゃないかなぁ」
「入ってねぇだろ!」
私は添景パーツの人形の模型を手に取った。
「もー、工期守って下さいよー」
隆二さんも一つ手に取る。
「そっちが余裕持って組まないからじゃないっすかー」
「ごちゃごちゃ言ってないで4種持ってる職人さん連れてきて下さいよー」
「3種しか持ってなくてすいませーん」
「…………」
「…………」
「「なにこれー!!」」
建築現場ごっこ。
バカみたいじゃん!と二人で笑い転げた。
「くだらねー!!」
「今年一番のくだらなさです」
一頻り笑ったあと隆二さんは大きく息を吸い込んだ。
「はぁ〜……。ねぇ」
「なに?」
「何が欲しい?」
寝っ転がったまま、肘をついて私の頬を撫でる。
「クリスマス?」
「そう」
「んー………バーキン。クロコの赤。アレすっごく可愛い」
「まじで言ってんの?」
「嘘に決まってるじゃないですか!!」
少しひんやりした手が服の中に入ってきた。
「………だいぶビビった」
「そんな厚かましい女に見えますか?」
「ううん」
その夜が寒かったかどうか、もう覚えていない。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2016年2月6日 21時