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──母さん、僕のあの卒業設計、どうしたんでせうね?









頭の中で「人間の証明」ごっこをしながら、私は屋根裏をあさっている。









「ええ、4年の冬、3日も寝ずに女を捨てて製作したあの卒業設計ですよ………あった!!」









よくこんなものを此処に運べたなと思いながら、慎重に寝室の床に模型をおろした。









ジーっと眺める。









「………うん!素人感すごい!」









一人で納得していると、チャイムが鳴った。









「隆二さんだ!」









急いで玄関を開けたら、彼の視線は私の頭の上に向けられている。









「ほこり付いてるよ」









そう言って、私の頭を手で払った。









「ちょっと探し物してて。早く上がって下さい」









一時間しかないので。









「え!なにこれ!」









ドアを開けたままだった寝室の中に隆二さんが入っていく。









床に座り込んで、色んな角度から模型を見て私の方を振り返った。









「Aが作ったの?」









「学生の時に。こないだ仕事先の子と、この話してて懐かしくなって出しちゃいました」









「学生がこんなの作れるんだー」









隆二さんはついに腹這いになって建物の中を覗いたり、少し触ったりし始めた。









…………ガリバーみたい。









「あ、柱取れた」









「え!?」









隆二さんの指先に爪楊枝ほどの柱がつままれている。









「ちょっとーー!!!」









私も腹這いになって、その柱を直そうと必死になった。









「手抜き工事だったんじゃないの?」









「そうかも。泣きながら作ってたから………」









二人して床に這いつくばって何をしてんだろ。









可笑しいなぁ。

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作者名:ぽち。 | 作成日時:2016年2月6日 21時

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