色戀、召しませ。4 (ページ37)

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「やることなくなっちゃった………」

明日、ボスも主任もびっくりするだろうな………

あぁ、明日は休みだっけ。

ゴロンと事務所のソファに横になって、別に知りたくもないネットニュースを携帯で読みまくった。

そしてLINEの画面を開いたり閉じたりした。

一度は返事をしようと決意した。

でも、やっぱり出来なかった。

私の瞼も開いたり閉じたりする度に涙が出た。

目尻を伝う涙は耳に落ちて、水溜まりになるんじゃないかと思うくらい。

もう涙が出ないように目を閉じた。

このまま眠れたら良いのに、なんて思っているうちに私は本当に眠りに落ちて

夢を見た。

隆二さんが私に語りかけてくる。

何を言っているか分からなくて、私は一生懸命聞こう聞こうとして─────

“もしもし？”

………そう、こんな声で

“あれ？”

…………違う、夢じゃない。

飛び跳ねるように起き上がった。

いつの間にか画面に指が触れていたみたいで“通話中”になっている。

それは、私にあの日を思い起こさせた。

手の中の飴と“最終渋谷”の文字の間で揺れたあの日。

そっと、携帯を耳にあてる。

「…………もしもし」

“大丈夫？”

何て優しい声だろう。

私は、この声が好きで

この優しさに救われて

そして、この人が大好きだった

「大丈夫じゃない………」

“え！？”

後で知ったことだけど、この時彼が発した“大丈夫？”は“話す時間ある？”の意味だったらしい。

でも、どちらにせよ

「…………会いたいです」

.

.

.

.

“俺も”

手で覆っても、彼に嗚咽は聞こえていたと思う。

“今どこ？俺が──”

「ううん、私が行く」

“でも時間遅いから危ないよ”

「私が会いたいから、私が行く」

私が私の選んだ道で行く。

あなたが居る場所に。