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「俺、今日GPS付けられてんだよ隆二に」
「嘘でしょ!?」
「嘘だよ」
私は仕事の休憩時間を使って臣くんの買い物に付き合った。
因みに隆二さんはお仕事中。
「こうかな?」
「いえ、もうちょっとこうだと思います」
臣くんの帽子の角度を変えたり
「どっちだろ?」
「白じゃないですか?」
色を選んだり
「これ雨の日ダメだよね?」
「ダメです」
素材の話をしたり、私も息抜きをさせてもらった気がした。
「ありがとねー、仕事中だったのに」
「いえいえ」
お礼に奢ってもらったコーヒー。
臣くんは女の子が好みそうなのを飲んでる。
「一人でお買い物するのが好きなんじゃないですか?」
「基本はね。たまには誰かと行きたいじゃん」
「ふーん」
「………たおやかだって」
「うん?」
「隆二がAちゃんのこと、たおやかだって」
“たおやか”と言う言葉に私は本日のコーヒーをごくりと飲み込んだ。
「よく知ってたよねあいつ。たおやかなんて言葉。俺、へぇーとか言いながらあとで検索しちゃったからね」
「や、ヤフーで?」
「や、ヤフーで」
昨今、あまり聞かなくなった言葉。
「全然、そんなことないんですけどね」
「そうかな?俺は納得したけど」
「ううん、本当に。頑固だし………考え込んじゃうし」
「それはAちゃんの芯の部分でしょ?その芯の周りは柔らかい感じするけど」
どうだろう。この歳になっても自分のことがよく分からない時がある。
「クリスマス」
そう言いながら臣くんが店内のツリーを指差した。
「あぁ……そんな時期ですよね」
「今ね、みんなでイブに────」
それは、誰が発案したのかも分からないクリスマスイブのこと。
この誘いを聞いている私に言ってあげたい。
“行くな。隆二さんと大喧嘩することになるから”
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2016年2月6日 21時