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「どうかなって。お前の地元でしょ?これ」
「地元ですけど……随分大きなプロジェクトですね」
「どう?参加しない?」
「参加………」
ファイルを捲って、文字を目で追う。
「意味があると思うんだよ。お前がこういうプロジェクトに参加するの。地元で」
「はい……」
落ちていた気分が上がるのが分かった。
夢に、近付けるかもしれない。
「これ、参加するとしたら転勤ですよね?」
「うん。2年」
「2年!?」
「そりゃそうだろ、こんだけ大きいんだから」
「2年………」
「良いじゃん実家から通えるし、家族とも居られるし」
「………ちょっと考えます」
「え!?」
「え?」
「考えちゃうの?」
「はい……あの、そんなすぐには」
ボスは一旦家に帰れと言って、私を駅まで送ってくれた。
疲れでふらつきながら自宅のリビングの電気をつけて、ヒーターの前に座り込んだ。
「………やばい!30日だ!」
急いでテレビをつけて、何とかその瞬間には間に合って
私はずっとほったらかしていた携帯をポケットから取り出して、
隆二さんに“おめでとうございます”と絵文字もスタンプもこれでもかと使ったメッセージを送った。
.
.
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送ってから、その場にうずくまるようにして泣いた。
誰も見てない、誰も聞いてないのに声を殺して泣いた。
私は、何をしてるんだろう。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2016年2月6日 21時