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私は“良いよ”とも“何にごめんねなの?”とも送れずに、パソコンに向かった。
仕事、仕事、仕事。
集中、集中、集中。
マウスを動かしながら、テラスのここに何か置きたいな………と考える。
何か良いアイデアはないかな……と思ってハッとした。
「しまったー………」
隆二さんにあげたスケッチブックには、彼の姿だけじゃなく日々のアイデアも詰まっていた。
「うー…………」
喧嘩してなければ“そこだけ写真撮って送って”とか“事務所にデジタル複合機ありませんか?”とか、聞けたのに………
「あー………」
「電波はあんたじゃん。何を受信してんの?」
秀香が気持ち悪そうに私を見ている。
「うん、ちょっと………」
「大丈夫?よっぽど堪えたんだね悪夢の24日が」
「別にー………頭の中では隆二さんに愛されまくったクリスマス過ごしたから」
「痛いな」
「痛いよ?秀香が考えてるよりずっと痛いよ私」
「…………ふーん」
私は深呼吸して別のファイルを開いた。
そう焦ることはない。
締め切りまで時間がある。それまでに新しいアイデアを集めよう。
その日の帰り道、私は美容室に寄った。
精神的に落ち着かなくなると、髪をいじりたくなる。
例え、襟足を2cmほどカットするだけでも気分がスッとするのだ。
ただ、ショートはスタイリングに手間がかかる。
結って誤魔化す事が出来ないから。
「もっと切っちゃいます?」
「え?」
「折角ショート似合うんだから、切っちゃいます?」
「ベリーショートとか?」
「そうそう!」
「それは前衛的すぎ」
切りたがりな担当さんだなと笑いながら、雑誌の間に落ちた髪をつまんで捨てた。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2016年2月6日 21時