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「怪しまれると困るから開けっぱなしにしとくね」と臣くんは部屋に入ってきた。
「靴で分かったよ。あ!って」
「そうなんですか?」
「うん、因みにその時計は何だい?」
私は袖を捲って、臣くんに手首を見せた。
「チュードルだ。これ、今売ってる?」
「74年製なんです。ユーズド」
「渋いね。文字盤が赤なのは隆二に合わせたのかなー?」
「え?」
「え?」
「隆二さんに………合わせる?」
「持ってんじゃん。隆二もチュードル」
「へ、へぇ…………」
「…………ファン失格だな」
「えぇーー!!」
「ショック受けすぎ!!彼女として合格してんだから良いじゃん」
臣くんは、言葉の端々に私の立場を示唆するようなことを言ってくれるなと思う。
私がどうこうじゃなくて、彼は人間という生き物が好きなのかもしれない。
好きだから人との交わり方が上手いのかも。
「それ、男が勘違いするよ」
「え?」
「ジーっと見るでしょ?人のこと」
「あ、失礼ですよね。すみません。メンチ切ってる訳じゃないんです」
やっぱり直らない癖。
「いや、そうは思ってないけど………あとさぁ、猫みたいな目してんね」
「私!?」
「うん」
「……………猫嫌いなんですけど」
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2016年1月26日 20時