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「何だよー、嫌なのかよー」
「違くて!隆二さんが照れくさいかなって!」
くねった道を下りながらスピーカーからと隣からと聞こえる彼の声。
「臣に言っとくからなー、普段聴いてねぇみたいだって言っとくからなー」
「今、臣くん関係ないじゃん!」
「あ、あ、あ、関係ないだって。それも言っとこ」
「もーー!!」
私が叫んだと同時に目の前に開けた場所が現れた。
峠の見晴台なのか駐車用の白線が引いてある。
「ちょっとそこ停めて良いですか?」
「え、俺置いてかれんの?」
「ちーがーうー!!ここはここで星が見えそうじゃないですか?」
「んー?」
フロントガラスから空を見上げた隆二さんが「本当だ」と呟いた。
一人で来てたら絶対にこんな山道で降りたりしなかっただろうなと思う。
暗いし、寒いし………。
「ちょっと見るだけ。寒いから隆二さん乗ってても良いですよ」
「ううん、俺も見る」
真似っこみたいな隆二さんに私は口元を緩ませる。
空気を入れ換えるために、少し窓を開けてから車を降りた。
「あぁ………綺麗。肉眼で見るのも、やっぱ良いですよね」
「うん」
「でも寒い!あ!そうだ」
急いで後部座席から大きなストールを取り出す。
ふと見た時計が0時を過ぎていた。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2016年1月26日 20時