Uneasy. ページ41
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「あ、隆二さん先に乗ってて」
「どうした?」
帰り際、駐車場で星じゃなくて携帯が点滅してるのに気が付いた。
「電話。マナーモードにしてたから気が付かなかった」
「車で話せば良いじゃん。寒いし」
「お姉ちゃんからの電話。小言が聞こえたら恥ずかしい」
隆二さんは“なるほど”と笑って私から鍵を受け取った。
「エンジンかけちゃって良い?」
「どうぞ!」
助手席に乗り込んだ隆二さんを見ながら携帯を耳に当てる。
コール音を聞きながら、車のエアコンに手をかざす彼を何となく見つめた。
“もしもし。ごめん仕事だった?”
「ううん、大丈夫」
実家から電車で一時間ほどのところに住んでいる姉は、遠い東京の地で頑張る妹を心配してたまに電話をかけてくる。
“あのね、お母さん入院したの”
「いつ!?」
車の中の隆二さんが私の表情を見て“え?”って顔をした。
私は首を横に振って、車に背を向けた。
“今日の昼くらい。早く連絡したかったけどバタバタしてて”
「また、同じとこ?」
“うん………今度はね、お腹開けてもどうしようもないかもって”
電話の向こうが随分、静か。
「どうしようもないって………」
この2、3年母は入退院を繰り返している。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2016年1月26日 20時