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「隆二さん、私も見たい」
脇腹をツンツンしたら「待って」と言われた。
係りの人がその間に流星群の観測会の話をしてくれて、
「凄く行きたいんですけど!!でも、その日は仕事なんですよー」
なんて会話をして………
「ねぇ、隆二さん!私も見たい!」
「静かにしろよ。俺、星見に来たんだよ」
「───私も見に来たんですけどぉおぉ!!」
「しょうがないなぁ。ほら」
やっと………とレンズを覗いて私も口角をグーっと上げた。
やっぱり、凄く綺麗。
比較的、若い星の集まりは新鮮な光を放っているように見える。
一つ一つの星が滲んだように見えるのは、居なくなった人を思って泣いているから
そんな言い伝えもあるこの星たち。
「もっかい見せて」
「え?はい、どうぞ」
隆二さんは私と入れ替わりで望遠鏡の前に立った。
そして、レンズを覗きながらさっきとは比べ物にならない強い力で私の手を握った。
俺はここに居るよ、と言ってるみたいに。
「綺麗だね」
返事の代わりに私はその手をギュッと握り返した。
11月、最後の日。
晴天。
星になった、大切な人へ。
この人が私の好きな人です。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2016年1月26日 20時