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私は少しずつ、誤解のないように説明した。
「え?いつ?お久しぶりですってやつは」
「あれですよ、臣くんがトイレ行かせてくれなかったとき」
「あぁ!Aちゃんがウーロン茶を爆買いした時の!」
隆二さぁぁあぁあん!!
「でも直接会ったわけじゃなくて───」
話しているうちに何か落ち込みそうになる。
「それで………臣くんと付き合ってるって思ってたみたいで」
「岩ちゃん!?」
「うん……」
「バカじゃねぇーのアイツ」
バ、バカ……。
「落ち込んでた?隆二」
「うん……でも今朝は笑ってました」
「今朝は?」
「うん」
「今朝は?」
「うん」
「今朝は!?」
「う、うん」
「昨夜は?」
「セクハラ止めてください」
駐車券をベーっと出している機械が見え始めた頃、私は天文台に行く話をした。
隆二さんはその計画を立てながら笑ってくれたのだと教えたくて。
「星、好きなの?」
「死んだ人は星になるっていうじゃないですか。だから」
臣くんが何か言いかけて口を閉じたのを見て、きっと知ってるんだろうと思った。
私の幼い頃のこと。
うなされた夜に隆二さんが抱き締めて眠ってくれたこと。
「Aちゃんは、UnfairWorldだね」
「ど、どこら辺がですか?」
「隆二に言っとこ」
「え?」
「唄うたんびに隆二がウルウルするように言っとこ」
「やめてあげて下さいよ!」
「いや、言う。あー休憩終わっちゃったじゃん!じゃあね」
「あ!ドアゆっくり………」
聞いてなかったな………。
嵐のように去っていった臣くん。
私は駐車場のスロープを上りながら明日晴れますようにと、もう一度願った。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2016年1月26日 20時