色戀、召しませ。3 (ページ33)

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「明日見に行こっか」

「明日！？」

「そのリアクションは………どっち？」

「え？」

「………明日、何の日か知らない？」

あ、今難しい顔してる。

「あれ？記念日とか好きじゃないタイプ？」

「記念日………あぁぁあぁ！！ちょっと！ちょっと！隆二さん！！」

手足をバタつかせながらAが飛び付いてきた。

「たまに気持ち悪いんだよ仕草が！！」

「気持ち悪いのは自覚してます！！き、記念日って１ヶ月記念日でしょ！？」

これ完全に忘れてたじゃん。

「昨日その話しようと思ったら岩ちゃん来ちゃったから。でもすること決まって良かった」

目一杯背伸びした彼女が、首に手を回して「うん、良かった」と声を震わせた。

「１ヶ月も付き合ってて片手で数えられるくらいしか会えなくてごめんね」

「全然、気にしてない」

「明日会ったら、もう当分会えないけど」

「大丈夫」

「本当に？」

トンと踵を床に付けたAが濡れた目で笑ってる。

「仕事してると結構あっという間だし、友達と出掛けたりもするし……隆二さんと会えないときも私はそれなりに忙しいんです」

「それは………失礼しました」

彼女には彼女の生活がある。

それがとても安心できる。

そしてそんな生活の話を聞くのもとても楽しい。

俺の知らない世界を彼女は教えてくれる。

「俺全然分かんないからAに場所決めといてもらって良い？」

「分かった。調べときます！」

Aは窓へと駆け寄って、まだうっすら見えている朝の月を見上げた。

「晴れたら良いなぁ」

「そうだね」

俺は静かに画面を覗きこんで、笑ってる彼女を写真におさめた。