色戀、召しませ。3 (ページ32)

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Cause. ページ32

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気になるもの、良いもの、好きなもの。

何でも描きとめてしまうのも癖かもしれない。

「出来た…………」

私はスケッチブックを静かに閉じた。

隆二さんの寝顔を少し撫でてから、クッシャクシャになったワンピースに袖を通した。

ベッドから出て、今日の天気を知るためにリビングの大きな窓の前に立つ。

少し曇ってるけど、雲間に光が差している。

このまま晴れたら良いなと窓から離れようとしたら

「そのまま」

「え？」

いつ起きてきたのか、隆二さんが携帯を私に向けていた。

「なに？写真？」

笑う私とは正反対に、隆二さんの顔は真剣。

「こっち見ちゃダメだよ」

同じ構図で撮ろうとしてるのかな。

「………こうかな」

窓の外に視線を向けた。

「ちがーう。もっと難しそうな顔してた」

「む、難しそうな？そんな顔だったっけな……」

自分が思う“難しい顔”をしながら、あの写真はどういう状況で撮られたのか思い出そうとした。

今と同じくらいの髪の長さだった……セーターを着てたから、秋か冬で………

────あっ。

「……隆二さん、星ちょうだいって私が言ったらどうする？」

「星？」

「うん、星。どうする？」

窓に反射する自分を見ながら、“欠片を買ってあげる”とか“命名権を買ってあげる”とか、どうかそんな事は言わないでと願った。

「星かぁ………あげられないから、一緒に見に行く」

「見に行く？」

「だからこっち見ちゃダメだって」

「嫌……見る」

「あら、反抗的」

「見に行くって例えば？」

「ん？天文台とか？俺も見たいし、すばる。ほら、難しい顔！」

「出来ない………」

出来るわけない。

あの写真は、前の彼の部屋で

窓辺に置かれたテーブルの上には命名権の書類が置いてあった。

だから、私は難しい顔をしていたんだと思う。

天文台なんて本当は隆二さん興味ないと思う。

でも、見に行こうってそう言ってくれて

難しい顔なんて出来ない。