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また、前を向いて項垂れた隆二さん。
その姿に切なさが込み上げてきて、私はゆっくり彼の腰に腕を回して抱きついた。
湯上がりの匂いがする背中に、そっと唇で触れてみる。
唇に伝わる彼の体温がちょっと冷たい。
隆二さんが他の誰かの彼氏だと思われてたら………嫌だな。
私なら、もっと落ち込むかも。
そんなとき、私は彼に何て言って欲しいだろ。
「隆二さん」
唇を軽く背中にくっつけたまま、私は語りかけた。
「私が好きなのは隆二さんなんですよ」
他の誰かと良い雰囲気に見えたって、私が好きなのは一人だけ。
「それだけじゃダメですか」
少しの沈黙のあと、隆二さんはゆっくりした動きでベッドに上がって枕の上に座り直した。
脚をモゾモゾ動かして、私も彼の方に向き直る。
「その座り方、アヒル座りって言うんだね」
「うん。そう」
「………最近さぁ」
隆二さんが私に近づいてギュッとしてきた。
「最近、思い通りに行かないことが多い………」
耳の後ろにかかる、彼の溜め息。
力強く抱き締められて自由にならない腕。
肘から先を彼の背中に回して、優しく撫でた。
“大丈夫、大丈夫”と彼がしてくれたみたいに。
「ちょっと疲れてるんですよ」
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作者名：ぽち。
| 作成日時：2016年1月26日 20時
