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「すっげぇ左が見にくいねこの
車！」
「そう！そうなんですよ！」
「えー、でも良いね。楽しいよね、大きい車」
シトシトと降る、雨の中。
少し影を作っている隆二さんの顔。
車内に流れているアッシャーを口ずさみながら、
まるで自分の愛車のように右手はハンドル、左手は肘をついて運転してる。
もっと見ていたいなと思うけど、悲しいかな5分なんて本当にあっという間。
マンションの真ん前に隆二さんは車をとめた。
車の窓から見上げたその建物。
「すごーい………ここ来客用の駐車場あるんですか」
「………知らない」
「え、駐禁切られちゃうじゃないですか」
「裏にパーキングあるよ」
隆二さんがふいにワイパーを止める。
フロントガラスに落ちる雨。
数えきれない水玉模様がお互いにくっつきあって流れていく。
前の景色も見えないくらいに降り注いだ雨粒を、ボーッと眺めていた私の視界に隆二さんの顔が入ってきた。
「えっ」
思わず胸を押し返した。
「流石に………ダメなやつじゃないですか？誰かに見られる……」
胸にあてたままの私の手を押し戻すように、隆二さんが唇を近づけた。
「大丈夫だよ。雨降ってるから……」
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作者名：ぽち。
| 作成日時：2016年1月26日 20時
