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「それは私が紹介しなくて良いとか言っちゃったから」
「だったら何で臣とは付き合ってるって思われてるんだろね」
…………そんなの、私にだって分からない。
「雰囲気があるじゃん?付き合ってる二人って。言わなくても分かるって言うか」
「はい……あります」
「俺が彼氏っぽく見えないのかな」
そう言って笑う隆二さんの顔が、全然笑ってなかった。
「………周りにどう思われても良いんじゃないんですか?私たち付き合ってるんだから………私たちが分かってたら良いんじゃないですか?」
隆二さん、そう言ったじゃない私に。
「でも、隆二さんが気になるなら私みんなの前で紹介されても良いです!だから……」
だから、そんな哀しい顔しないで。
2時間睡眠の目に、涙が滲みる。
「そうだね、ごめん」
“そうだね”と言いながら本当は納得してないんだろうなって、顔を見れば分かる。
隆二さんは、嘘が下手な人。
だから私は騙されるのが上手な人になろう。
「寒いですね、今日」
「寒い?」
隆二さんは、ちょっと体を屈めていつかみたいに私を抱き上げた。
「こ、これ外じゃダメじゃないですか!?」
「いや、このまま家まで帰る」
「無理でしょ!?」
私はまた子供みたいに笑って少しだけ近くなった星空を見上げた。
「あ!すばる!」
「すばる?」
「あの6個くらい集まってる星団。望遠鏡で見るともっとたくさん見えるんだけどなぁ」
「へぇー。すばるって言うんだ」
“集まって一つになる”という意味を持つ“すばる”
私はこの星団がよく見える冬が好き。
「おろすよ」
結局、抱っこしたままじゃ家まで帰れなかった彼も好き。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2016年1月26日 20時