色戀、召しませ。3 (ページ21)

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「その話になると思って探して拾って来ちゃったよー」

岩ちゃんが携帯を弄り出した。

今、一発撃てるなら間違いなくそれを撃ちたい。

「ほら」

ポンッとテーブルに置かれた携帯。

覗きこんだ隆二さん。

私も恐る恐る、その画面に目を向けた。

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ほっと胸を撫で下ろしたのは、その写真が窓の外を見ている私の横顔だったからだ。

おかしな写真など撮らせたことはなかったけど、万が一………と不安だった。

大きく息を吐き出した。

付き合っていた時に撮った何気ない日常の私の写真を、付き合っている最中に作品展に出した。

それを岩ちゃんが覚えていた。

世間は狭いね、と笑える話。

そんな気持ちで隆二さんを見たら、彼は無表情で写真を見ていた。

私の心がキュッと音を立てる。

「臣さんには内緒にしとく？怒っちゃいそう」

「臣？なんで？」

「だって前の彼氏の話しとかさぁ。って言うかいつの間に臣さんと付き合ってたの？クラブとか食事会で一緒に居るのは見てたから何となくそうかなぁ？って思ってたけど」

指先がとても冷たく感じるのは、部屋の空気が凍てついているからだろうか。

「臣が言ったの？付き合ってるって」

「ううん、でも見てたら分かるよ。みんなもそう思ってるし。え、隆二さんと元々知り合いだったの？で、隆二さんが臣さんに紹介したの？」

「岩ちゃん」

「うん？」

「紹介するね。俺の彼女」

「え？」

「この子、俺の彼女」

隆二さんはそう言ったあと、眉間に皺を寄せてまた写真に視線を落とした。