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「俺、こないだ“お久しぶりです”とか言ったんですけど会ったことなかったです!」









その言葉に時間が止まったかと思うほど部屋がシーーンと静まり返った。









「でも見たことあったのは間違いなくてー」









「あれでしょ?誌面でしょ、誌面」









「違う違う。───先輩と付き合ってた方ですよね?」









岩ちゃんは、実にあっさりと淀みなく、前の彼氏の名前を口にした。









「俺、高校の時にお世話になってて。大学の時に写真部でしたよね?先輩」









「あ………はい」









「そのOBの作品展を観に行った時に先輩の作品が話題だったんですよ、この写真の女の人誰!?って」









確かに写真部だったし、私が被写体になることもあった。









でも作品展に出されてたなんて初耳。









「あっ、もちろん良い意味でですよ!?綺麗な人だからモデルさん雇ったのー?ってみんな聞いてたりして」









次々入ってくる情報に目が回りそうだった。









「そしたら先輩が自分の彼女だって言ったからみんなヒュー!みたいな」









今、ヒュー………って言いたいのは私です。









「付き合いだしたのは大学の時だって話しになった時に耳に入ったんだと思うんですよね、通われてた大学名」









「その作品展?っていつの話ですか?」









「一年半くらい前です。俺もよく覚えてたなー」









別れたあとじゃなかった。









だから、前の彼氏を責めるに責められない。









「それ、どんな写真?」









ずっと黙って聞いていた隆二さんが口を開いて、私は弾かれるように彼を見た。

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作者名:ぽち。 | 作成日時:2016年1月26日 20時

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