5 side R ページ11
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「やだよ!俺が間違えたみたいじゃん!」
俺が笑えば笑うほど、彼女もつられて笑う。
「お店の人も間違えたって分かってるよ」
「いや……どうかなぁ」
「その端末の最初のページに“スタッフ呼び出し”ってあるじゃん?そこタップして」
「はい、しました 」
「そしたら端末に向かって“間違えました”って言って。それで大丈夫」
少し微笑みながら端末に口を近づけたA。
「間違えました…………」
.
.
「……………ぷっ」
「え?あ!騙した!?」
ゲラゲラ笑う俺の隣でAは悶絶している。
「あー、やべぇ、腹痛い」
目尻の涙を拭ったらAも首を傾げながら笑ってた。
Aと居ると楽しい。
自分が自分で居られるから。
「あ………隆二さん、戻らなくても大丈夫ですか?みんなのとこ」
「うーん、大丈夫。トイレで吐いてると思ってんじゃん?」
「本当に?」と笑うAの手を握ろうとしたら、戸が開いたままの個室の真横を岩ちゃんが通りかかった。
俺を見てから、Aを見て、気を使ったのか何も言わずに通りすぎる。
「ここ、閉めない?」
Aに尋ねてその答えを待っている間に、岩ちゃんが後ろ歩きで戻ってきた。
「お久しぶりです」
岩ちゃんがそう言ってAに会釈した。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2016年1月26日 20時