色戀、召しませ。 (ページ6)

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隆二だ………。

「人違いじゃなくて良かったです」

そう言って微笑む彼を見て、“この人、笑うんだ”と思った。

人は生きている限り、笑うし泣くし怒るんだから当たり前なのに

彼の笑顔が不思議でならなかった。

「自分、この間ご挨拶するの忘れてて」

「ごあい………さつ」

「あの…………はい」

こ、これは………

私を音楽関係者だと思ってる！

「あ、あぁ！あの、全然、お気になさらず！存じ上げておりますので！」

存じ上げているのは、ほとんど楽曲のみですが！

「じゃあ！」

私は早足でコンビニを出て、角を曲がって暫くして足を止めた。

「……………夜ご飯、どうしよ」

何で、逃げちゃったんだろ。

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ゆかりは、仕事場の近い私の家に泊まることがよくある。

いつものようにご飯を食べながら、コンビニでのことを彼女に話した。

「あーそう！？じゃあ勘違いされてんだ！？まぁ、そりゃそうか」

「やばい！と思って逃げちゃったんだけどさ、よく考えたらバレるわけないんだから普通にしてれば良かったんだよね？」

「まぁねぇ。でもコンビニってそこのでしょ？近くに住んでんのかな？」

「さぁ………どうだろ」

土地柄………と言うのだろうか家の近所で芸能人はよく見掛ける。

彼が住んでても別段おかしなことはない。

「あ！そうだ！明日さぁ────」

久々に夜遊びしようよ、そんな話をしながら私と彼女の夜が更けていった。