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考え込む私に臣くんが「ちょっとこっち向いて」と言った。
私はその指示に従って臣くんの方に顔を向けた。
「………あー、なるほど。分かるわ、うん」
「え？」
「いや何でもない…………俺、わざとだと思ってて、途中で帰ったとき。隆二の気ぃ引きてぇんだなぁと思ってた」
知らぬ間に沈んだ夕陽が気温をグッと下げた。
「そしたら半年だっけ？もっと？連絡とらなかったんでしょ？」
「はい」
「そんで、俺と居酒屋で会ったじゃん？そん時、うわって顔したんだよ」
「私？そんな顔しました？」
「したー。俺嫌われてんだなって思ったもん」
嫌いじゃないです。
ウテウテだと思ってるだけです。
「あぁ、普通なんだなぁと思って」
「普通…………ですもん」
「いや、普通のふりして普通じゃない子居るじゃん？」
……………ん？
「居るんだよ。うまいこと引っかけてやろう、みたいな子。そうじゃないんだなぁと思って。普通、戸惑うし分かんないよね俺らみたいなのと会っちゃっても」
「うん………はい」
「隆二もそうなんだよね。分かんないんだよ…………下の名前なんだっけ？」
「Aです」
「Aちゃんにどうして良いか」
私は、まだまだ談笑中の隆二さんを見た。
「こういうこと言うと、芸能人ぶってるって思うかもしれないけど、そうなんだよ」
「私のこと…………」
どう思ってるんでしょう？
聞こうとして辞めた。
「手ぇ振ってみ？」
「え！？」
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作者名：ぽち。
| 作成日時：2016年1月4日 20時
