色戀、召しませ。 (ページ5)

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Reunion. ページ5

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「疲れた…………」

同僚が漏らした一言に私は肩を叩いて同意した。

彼女は秀香という名前。

入社式の日「ひでか？」と聞いた私に「しゅうか」と綺麗な笑顔を見せたのを昨日のように思い出す。

「飲みに行こうよ！飲みに！」

いつもなら二つ返事で飛び付くけど、今日はそんな気になれなかった。

早く帰って寝よう！と身体が言っている。

「明日は？」

「えー………分かったぁ。絶対ね」

「ごめんね」

好きで、なりたくて、憧れて、そんな仕事なのに、最近何をやっているか分からなくなるときがある。

火のついた爆弾を搭載した、締切という名の機関車に追い立てられる毎日。

あの先輩は、いつも一発でOKが出るのに何故私は二度も三度もダメ出しが来るんだろ。

“スランプだね”と言われたことがあるけど、少々その期間が長すぎやしないだろうか。

ため息ついでに家の冷蔵庫に何もないことに気が付いて、しまったなぁ………と思った。

とは言え買い物に行ってから作って食べる元気もなくて、家の近くのコンビニに立ち寄った。

食べるものを買いに来たくせに雑誌コーナーで立ち止まって、ファッション誌を一冊手に取る。

春物がチラホラ載り始めた誌面をパラパラ捲って、元に戻して顔を上げた瞬間

ガラスに反射して映っている隣の人が、私を見ていることに気がついた。

パッと隣を見て、私は思わず「あっ」と声を出していた。