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ゆかりはベッド、私はフローリングに布団を敷いた。
「ねぇねぇ、寝たぁ?」
「ううん!………って修学旅行みたいじゃん」
「良いじゃん、たまには…………Aがさぁ、あんなに泣くって相当良い男なんだろねぇ」
「うーん、どうなんだろうね。二人っきりで会ったのなんて数えるくらいしかないから………」
「その数回で好きになったわけでしょ?」
「うーん…………ね?」
「ね?」
「……………良い夢、見させてもらいました」
「…………そうだね」
「おやすみ」
「おやすみ………………泣くなよ」
「………………泣いてないよ」
……………本当は、ちょっと泣いた。
私は、いつもの日常に戻った。
隆二さんとのことは、なかったことにして。
3日経ち、4日経ち、一週間経った。
あのコンビニには朝しか寄らないことにしている。
朝は物凄く混んでるから、会っても気付かないと思う。
気付いたからといって何があるわけでもないけど………。
.
.
その日、朝から熱っぽくて休みなのを良いことに部屋でダラダラしていた。
10月の陽射しが庭の芝生を輝かせているのを見ながら、ここにウッドデッキがあったら良いなと思った。
そんな立派なのじゃなくて、半日くらいで出来ちゃうやつ…………
───ピピッと鳴った体温計を見たら、平熱。
「熱ない…………」
頬は確かに熱いんだけどな。
寝転んだまま携帯で“ウッドデッキ”を検索した。
「んー………………」
小さいものでも結構するんだなぁと思いながら画面をタップしようとして、その指が止まった。
なかったことにしたはずの隆二さんの名前が着信音と共に現れた。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2016年1月4日 20時