色戀、召しませ。 (ページ15)

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“シルバーの外階段がある店が目印だから”

アラームじゃなくて、隆二さんからだった。

“了解”と返信しそうになって、私は指を止めた。

今なら“仕事で行けなくなりました”と断れる。

深入りしてはいけないと、私の中の経験が囁いていて………

止まったままの指を急かすように“22時45分”のアラームが鳴った。

“何か違うなぁと思ったらすぐ出なよ”

秀香の言葉を思い出して、私は席を立った。

クラブについたのは23時の5分前。

ドアを開けようとして「すみません！」と強めに声をかけられた。

「どなたの？」

「え？」

「どなたのご招待ですか？」

……………何だこのシステム。

ふらっとやってきた一般人を締め出すための受付かな。

やっぱり何か怪しいVIPルームで男女が───

私はまた受付の男の人をジーっと見つめていた。

「あ！俺の！」

ハッと我に返って声の方を見たら隆二さんがドアからちょっとだけ顔を出していた。

「ごめんごめん、この事伝えるの忘れてた」

いつもの笑顔で私を手招きしたその指先に、吸い込まれるように私は店内に足を踏み入れた。