色戀、召しませ。 (ページ10)

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“住所と時間です”

早速次の日、隆二さんからLINEが来た。

アイコンがちゃんと変わっていて、私はニヤッとしながら

“ありがとうございます”と返信した。

明後日の夜11時。

随分、遅い時間にスタートだなと思ってお店の名前を検索して

「なるほど」と一人ごちた。

所謂、クラブイベント。

これは、純粋に音好きが集まるやつなのかな………

「ねぇ、此処行ったことある？」

秀香に店の名前を見せたら「うん」と頷いて少し首を傾げた。

「Aが好きな系統かなぁ………何て言うのかなぁ………パーティーピーポー？」

「え！？」

「いや、私が行ったときが、たまたまそうだったのかも知れないよ！？」

「そうなんだぁ……………」

一抹の不安を覚えた。

やっぱり何かイェーイ！みたいな飲みまくりな感じで、VIP席的な場所で男女がもつれ合ってて…………

「東京は怖いね。クラブ
はもっと怖いね」

「な、何！？怖いなら行かなきゃ良いじゃん！」

行かなきゃ良い……………

でも、行きたい。

私は多分、彼に会いたいんだと思う。

会って、話をして

そしてまた、微笑みかけて欲しい。

好意があるとかじゃなくて

あるとかじゃなくて…………

会いたい。

「行くんだったらさ、何か違うなぁと思ったらすぐ出なよ。ね？」

「うん、そうする」

「私語が多い」

私たちの間に割り込むように主任が一言注意して、その場を去って行った。

「…………ハゲ」

秀香の呟きに笑いを堪えながら、私も心の中で“ハゲ”と呟いた。