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painful. ページ30







午後10時。









私は携帯をテーブルに置いてソファに正座している。









あのあと“夜って何時ですか?”と返信したら









“10時くらい”









と返ってきた。









今その10時くらい。









「………ぴったりにかかってくるわけないよね」









お茶を飲むためにキッチンへ向かおうとした瞬間









着信音じゃなくて通知音が部屋に響いた。









取り合えず電気ケトルに水を入れてスイッチを押してから、ソファにドサッと座り込んで携帯を手にした。









“ごめん、電話出来なくなった”









心臓を鷲掴みにされて床に叩き付けられたんじゃないかと思うくらい、ギューっと苦しくなる。









私は電話1本のことだけで、こんなに苦しくなる理由を気付かないふりしようとした。









違う。









好きとかじゃない。









ちょっと声が聞きたかっただけ。









好きな声を───









目を閉じて天井に息を吹きかけた私の耳に、また通知音が届いた。









.









.









“だから会って話そうよ”









「え……………」









違う。









ちょっと声が聞きたかっただけじゃない。









私は、彼に会いたいんだ。

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作者名:ぽち。 | 作成日時:2016年1月4日 20時

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