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不屈の女神たち。 ページ44





ホテルの朝食はどうしてあんなに食べちゃうんだろう。









膨れたお腹をさすりながら、岩田さんにどんなお礼をしたら良いか考えた。









真希がA子に電話をかけてしまったと告白したとき岩田さんは









「不安なら、いつでも見て良いよ」








そう言って携帯のロックを解除したらしい。









岩田さんの誠意の見せかたは実に男らしいなと、私は少し感動すら覚えた。









「お腹苦しい……」









アパートの階段をのぼっている途中で「Aちゃーん」と声をかけられた。









手すりから身を乗り出して下を覗いてみたら、お姉さんが手を振っている。









「カレー、もらってくれない?」









「夜ご飯考えてなかったから助かります!」









「ありがとう。すぐ持っていくね」









昨日、お姉さんの彼は「行くよ」と言って来なかったんだな。









そういう日の次の日は、お姉さんは私の部屋にカレーを持ってくる。









もう8年続いているけど、いつ食べてもお姉さんのカレーは美味しい。









部屋に入って靴を脱ぐ前に、ドアがノックされた。









今日こそカレーの隠し味を聞いてやろうと私は思いっきりドアを開けた。









「主人、伺ってますでしょ?」









「……………はい?」









目の前には、お姉さんじゃなくて40代後半から………50代半ばの女性が立っている。









「主人、呼んでください」









主人……………。









「どこに隠してんの!!」








女性は私に掴みかかった。









「ちょっ!ちょっと!何なんですか!!」








折角、コーヒーのシミが抜けたカットソーを引きちぎらんばかりの勢いに、私は腰が抜けてしまった。









「早く出しなさいよ!」









私を押し倒した女性からNo.5の香りがした。









「Aちゃん!!」









女性の肩越しに見たのは、赤いお鍋を持って顔を青くしてるお姉さん。









あっ……………。









主人とは、お姉さんの彼でこの女性が奥さんだ。









これは、俗に言う修羅場である。

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作者名:ぽち。 | 作成日時:2015年10月27日 19時

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