3 side T ページ31
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「おかえりー。遅かったね、岩田さんの分のご飯…………」
玄関に立ち尽くす俺を見て、真希は黙り混んだ。
「何か………あった?取り敢えず、部屋に」
ソファに座り込んだ俺の隣に真希も寄り添うように座った。
「隆二さんとA、揉めてるの知ってた?」
「…………え?」
「俺、何も知らなかった」
“あの日”をうっすら覚えてる、少し暑い日でAの気分が悪くなって
「俺、送ってくよ」臣さんが言って………
「臣さんはAを部屋まで送って、少し様子を見てたらしくて………でも、何かそういう………」
真希の顔が険しくなった。
「Aは、押し退けたんだって臣さんのこと」
「それで?それで終わりでしょ?」
「だけどこの間、臣さんがアパートに来て“終わったことだと思うなよ”って言ってきたらしくて」
真希の手が俺の手を痛いくらいに握ってる。
「臣さんは、隆二さんに………多分、Aと一線越えたようなことを言ったんだろうね。隆二さん、暫く逢うの辞めようって。Aの顔を見たら酷いこと言いそうになるからって」
「私のせいだ」
「なんで?」
「私が臣さんにコート返してって頼んだんだもん………私のせいでしょ?どうしよ………」
「真希のせいじゃないよ。臣さんは、遅かれ早かれこうするつもりだったんだよ」
「なんで?なんのために?」
「Aが“ふざけないで下さい”って臣さんを押し退けたとき、笑っただろ?って。臣さんは、馬鹿にされたと思ってるって」
Aは、誰か他人の話をしてるみたいに、事細かに俺に話してくれた。
“俺も一緒に話してあげるから、今すぐ隆二さんの所に戻ろう”………そう言ったら
“だって、暫く逢うの辞めようって………”
今にも泣き出しそうなのに、少し笑って、そう答えた。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2015年10月27日 19時