3 side R ページ27
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“A、膝に傷があるだろ”
何故、臣が知っているのか。
その傷に、俺が気付いたのは初めて彼女が部屋に泊まりに来た日。
つまり、臣とAはそういう…………。
何となく見た衝立の中に彼女のジャケットが置いてあった。
どこ行ったんだろ………。
「あの…………先輩、お昼です」
いきなり声をかけられてビックリして振り返った。
先輩って…………あぁ、この子が新人か。
「そう、お昼か………」
「ご用でしたら、私伝えておきますけど」
「いや………」
「あ、お昼の待ち合わせですか?」
「え?」
「先輩、急いでらしたから…………登坂さんと一緒なんですかね」
臣と?
「こないだもエレベーターの前で、お話されてたんで…………」
“体調悪そうだったから、送って行ったんだよ。一時間くらい様子見てたかなぁ………そしたら、流れで………。隆二には言わないとと思って”
臣の話をその時は俄には信じられなかった。
流れで………、そんな風に受け入れるような子じゃない。
俺が一番知ってるんだ。
“A、膝に傷があるだろ”
だけど、この一言が胸に刺さった。
Aは、何度も話をしたいと言ってくるけど、
“Aは、こう言うはずだよ「何もなかった」そりゃそうだよなぁ、あっても言えないよ”
例え、そうだとしても、あれもこれも終わったこと。
自分に言い聞かせる。
「お付き合いされてるんですか?」
「え?」
「先輩と、登坂さん」
「は?」
「あれ………何か………そんな感じだったから。すみません、あの…………本当に」
“しまった”、そんな表情をして新人スタッフはうつ向いた。
なぁ…………終わったことだろ。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2015年10月27日 19時