悪魔の証明。 ページ16
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“終わったことだと思うなよ”
終わったこと………何故、臣さんはあんな言い方をしたんだろう。
昨日の夜から、ずっと考えてる。
あれは始まりですらない。
あの日、体調が悪くて………臣さんが送ってくれることになって。
玄関を開けて“少し様子を見とこうか?”と言われて───
「何で呼んじゃったの!?」
A子に肩を小突かれて、私は回想から現実に引き戻された。
「ん?」
「紗希ちゃん。何で呼んじゃったの!」
女だけで気兼ねなく飲むのは月に2度程、開催されていて
男の人が一人もいない“大勢”は、私もちゃんと輪の中に入れる。
“今日何時だっけ?”
紗希ちゃんに仕事を教えている最中、別のスタッフに時間を聞かれた。
その一言で今日、何かあるのは紗希ちゃんの知るところになった。
「そこで誘わないなんて出来ないでしょ!?」
私もA子の肩を小突いた。
「ちょっとさぁ!いや、そうなんだけどさぁ!」
タバコを持った手で頭をガリガリ掻きだした。
イライラしてる時の彼女の癖だ。
「良いじゃない。早くみんなと打ち解けた方が良いし。ね?」
「うーん………」
でも本当は私も、誘わなかった方が良いかもしれないと思っている。
紗希ちゃんはどこか所在なさ気で、時折話をフラれても曖昧に頷くだけで……。
女が8人、紗希ちゃん一人が浮いている。
ちゃんと歓迎会みたいなことをしてあげてからの方が良かったかも。
どうしたら打ち解けられるかなぁ、なんて考えてる間にテーブルの上で携帯が震えた。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2015年10月27日 19時