4 side T ページ14
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その日がハロウィンであることを、Aはどれくらい意識していたんだろうか。
真希が「Aに借りっぱなしのコートがあるから返しに行かなきゃ」と、朝俺に言っていたのは覚えてる。
コートを手にした真希が、駅から足早にAのアパートに向かう途中
「真希ちゃん!」
「あ、臣さん!」
「どうしたの?」
「コート。Aに借りてて」
「そうなんだ。何か…………'急いでんの?」
「また、学校に戻らなきゃいけないんです。生徒がお店で騒いじゃって」
「え!大変だね…………俺が持って行ってあげよっか?」
「え、どうしよ………お願いしようかな」
「うん。留守だったらドアのとこに掛けとけば良いかな」
「はい。じゃあ、すみません!お願いします」
真希が知ってるのは、ここまで。
コートを受け取った臣さんがアパートに着いたとき、Aは部屋の前で鍵を開けていた。
「A!」
「臣さん……………あ!そのコート!」
「真希ちゃんから預かってきたんだけど!」
「ありがとうございます!私、今おりますね」
「良いよ!俺が上に行く」
階段をのぼってくる臣さんを見て、Aは開けたはずの鍵をもう一度閉めて、自分が盾になるようにドアの前に立った。
臣さんが階段をのぼってくる音を、Aはどんな気持ちで聞いていたんだろう。
そして、臣さんはどんな気持ちで階段をのぼっていたんだろう。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2015年10月27日 19時