イカロスの鍵。 (ページ10)

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お昼何にしようかなー…………。

少しだけ休憩を取るタイミングが遅くなって、どこの店もランチタイムは軒並み終了してる。

「コンビニ………？」

味気ないけどフラフラしてても時間ばかりが過ぎていく。

いつも行くコンビニの商品棚もお昼時のあとで閑散としてて、店員さんも何だかお疲れ気味。

「ドーナツしかない」

お昼にドーナツ。

お腹一杯になる為には3つは食べないと！と思いながら袋の裏のカロリー表示を見て

２つにした。

ダイエットしてるわけでも健康指向なわけでもないけど、ついつい確認してしまう。

「レシートは？」

「あ、お願いします」

おつりとレシートを財布にしまって、甘い香りを含んだ秋の風を楽しみながら事務所に戻った。

「え！ドーナツ？」

隣のデスクの子が不思議そうに聞いてきた。

「これしかなかったんだー」

「持つ？夜まで」

「………やっぱ３つ買えば良かったかなぁ」

「３つは食べ過ぎじゃない？」

「やっぱり？あー………」

ピヨピヨ──

私はドーナツを少しかじって咀嚼しながら携帯に手を伸ばした。

「んー！？」

ポップアップに、隆二さんの名前と鍵のマーク。

慌てて事務所の中をグルグル見渡す私に２回目のピヨピヨが来た。

“半分ちょうだい”

半分………ドーナツ？

グルグル見渡しても、キョロキョロ見渡しても、彼の姿はない。

“どこにいますか！？”

“入り口のほう”

衝立で死角になってる場所に居るらしい。

手元にあったコピー用紙を二つ折りにしてから半分にしたドーナツをそこに置いて、そっと持ち上げた。

「ちょっ、どこいくの！？」

隣の子が私の服の裾を引っ張るから

「ちょっと………」

と曖昧に答えた。