夜明け前。 ページ46
・
ギュッてして下さい、なんてよく言えたなと自分で思う。
ちょっと嫌い、 も今となってはどうでも良いことで…………
本当のところの隆二さんってどんな人なんだろ。
ちゃんと好きでいたいから、知りたい。
「今日、部屋行くわ」
「えっ」
「俺、好きになってもらわないといけないじゃん?」
「はい………」
「だから部屋行くわ」
踏みしめる落ち葉の数が、ここ何日かで増えた。
色づく街の、何てことない遊歩道。
隣に隆二さんが居るだけで叫びたいような高揚感がある。
何を叫びたいかは、分からないけど。
「私の部屋?」
「俺の部屋でも良いよ」
部屋……………
「あれ?部屋で何しようとしてます?」
「そういうこと」
私はまた、ぶんぶんと首を横に振った。
「何で?好きになりたいんだよね?」
「何でそういうことしたら好きになるんですか」
「……好きになると思うけどなー」
「嫌だな………男の人って、すぐそういうことに持ち込もうとする」
「じゃあもう、一生言わない」
なんて極端な人………。
「でも、部屋見るだけなら良い?」
「見るだけですよ!絶対!」
1342人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「芸能人」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぽち。 | 作成日時:2015年10月2日 19時