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「それに、よく考えたら私ちょっと怖いですよね?興味ないって言われてるのに……付きまとってるみたい」
「利用してくださいってやつ?」
彼の声がすぐ後ろで聞こえる。
「呼び出せば駆け付ける便利屋さんだったと思って下さい私のこと」
キスも昨日の誘いも
“もうやめろ”
彼はそう言いたかったんだと思う。
「もう、利用して下さいとか、一緒に帰ろうとしたりとか無駄に話しかけたりとか………そういうの絶対しません」
いつの間にか、彼は私の目の前に立っていた。
「でも、やっぱり隆二さんでいっぱいなんで好きでいるだけなら良いですか?そのうち………諦められると思うんで」
彼は無言で私を見てる。
「あ………想われてるだけで迷惑だったら、言って下さい。そしたら私」
その言葉の続きは唇で塞がれた。
彼の唇は焼けるように熱くて、角度を変える度、ジュッと蒸発する音がするんじゃないかと思ったくらい。
火傷する寸前で彼は唇を離した。
「あ……あの……私、今諦める話……してたんですよ」
「うん」
「こういう事されると、燃えちゃうの知ってますよね……前回ので」
「うん」
「諦めさせたいんですよね?……なのにキスなんかしちゃって………へっ、変なのー」
「変だよね。好きでもない子にキスはしないんだけど、あんまり可愛いこと言うから」
「えっ?」
“え”の口のまま固まってる私に彼はもう一度キスをした。
「……今のは何のキスですか」
「おやすみのキス」
別に笑いもせず彼はそう言った。
「じゃあね、おやすみ」
焼けた唇に燃えた心。
私の体はすっかり熱くなっていた。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2015年10月2日 19時